漢熟覇王 ネクスト2

 真の漢熟覇王は誰なのか? シール情報だけで終わらない漢熟覇王大戦のすべてを四神ゲンブが明らかにする! 戦士たちの激闘はもちろん、ヒミツのライバル関係まであばいてしまうぞ。衝撃のラストシーンまで『漢熟覇王ネクスト2』を見のがすな!



第5回 絶緋翔馬<ぜつひしょうば>アリスタVS幽暗鬼<ゆうあんき>ヴァルバトーゼ玄武に七色の羽根? 暗裂剣<あんれつけん>に未来の灯<あかり>はともる!

最初に言っとくが、ヴァルバトーゼはもともと吸血鬼だったんじゃが、人間との愛ある関係に目覚め、血を吸うのをやめてしまったんじゃ。そこからじゃ、魔力を失ってしまったのは。魔界では吸血鬼であり、暴君と恐れられるほど百戦錬磨<ひゃくせんれんま>じゃった。誰もヴァルバトーゼにかなわん。逆<さか>らったら、一発で叩き潰されたもんじゃ。ところが、魔力を失い、漢大陸に姿を現してから、文字どおり「暗」の言霊<ことだま>を象徴した戦法に徹しておった。

息をひそめ、暗闇で相手を討<う>つ。いわゆる闇討ちってヤツじゃな。そんな戦法を得意にして、玄武エリアで勝ち上がっていったのじゃ。魔力を使えない代わりに、武器での接近戦を上達させた。ヴァルバトーゼの暗裂剣に灯がともった時、相手はすでに敗れている…といったハナシは、漢大陸全土に伝わっておったものじゃ。目指すは万理の頂道<ばんりのちょうどう>。相手は…岩壁の坂を駆け下りてきた…そう、漢権四天王のひとり、絶緋翔馬アリスタじゃった。

アリスタは「絶」の言霊を与えられ誕生した漢熟戦士じゃ。相手の息の根を絶えさせる壮絶<そうぜつ>なパワーの持ち主。それを始皇帝に認められて、漢権四天王に加わったというワケじゃ。これまでの四天王たちもなかなかの強者<つわもの>ぞろいじゃったが、力でいえばアリスタがナンバーワン! そして、相手を叩きのめす非情さもナンバーワン! ヴァルバトーゼとの一戦は、月だけが見つめる静まりかえった真夜中に始まったのじゃ。

「カタカタッ、ガタガタガタガタッーーーーーーーー!!」
頂道の岩で固められた道を駆け下りてくるアリスタの足音がどんどん近づいてくる。長い髪と尾をなびかせた馬のような漢熟戦士が近づいてくるのがわかる。ヴァルバトーゼは、暗裂剣を抜き灯をもとす。あたりがパッと明るくなる。ヴァルバトーゼにとっては、これが臨戦態勢<りんせんたいせい>、そう戦いを決意した証しじゃ。未だ見ぬ相手にも動じず、じっと目を見開いていたが、流れ落ちる汗の量は緊張の度合いを物語っておった。

両前足のひずめを上げ、威嚇<いかく>するアリスタ。
「よくぞここまでたどり着いたな! 漢権四天王のひとり、絶緋翔馬アリスタが相手だ! この先には頂の始皇帝様がおる! しかし、きさまが会うことはない…私が負けることなどないのだから!」
と叫ぶと、黄金色に輝く大きな薙刀<なぎなた>をヴァルバトーゼめがけ振り回した!
すんでのところでかわすヴァルバトーゼ。暗裂剣が照らすその瞳も燃えていた。決意の固いヴァルバトーゼの心を映し出すように。薙刀を上下に回転させ、ビュンビュンと攻めてくるアリスタ。大柄な体だが、素早く動き、フルパワーで一気呵成<いっきかせい>に攻め続ける。防戦一方<ぼうせんいっぽう>で後ずさりするヴァルバトーゼは、どんどん万理の頂道の入り口へと引き返していくようでもあった。ひらりひらりと宙を舞っては、薙刀の攻撃をかわすヴァルバトーゼはただひたすらチャンスを待ち続けた。アリスタのスタミナ切れ、というチャンスを。

アリスタが振りかざした一撃が割れた岩場に引っかかりおった。一瞬だけにらみ合う二人。不敵な笑みをもらすアリスタ。しかし、ヴァルバトーゼはそこに余裕無き目を見逃さなかった。「チャンス!」勝機を見いだしたヴァルバトーゼは、暗裂剣の炎をひとまわり増大させ、天にかかげるように腕を上げた。はあはあと息せき切らせたアリスタの目に、月と炎がシンクロし、まるで燃えさかるかのような月がとびこんでくる。

「暗黒の彼方で絶えろ!!」
これまで見せたことがないヴァルバトーゼの大飛翔は、月よりも高く、闇にまぎれた。
「ズガッシュッツーーーーーーーーッ!!」
一刀両断に振りぬかれたヴァルバトーゼの渾身<こんしん>は、暗闇もアリスタも切り裂いた。勝負あり! じゃ。闇に瞬間の光を放ったかと思うと、ヴァルバトーゼは後ろを振り返らず一歩一歩万理の頂道を歩み出した。
「きさまが頂の始皇帝様にかなうはずなど無い! 世界は変わる…漢大陸は変わる…漢熟覇王が誕生し、未来は変わる…」
アリスタは息絶えた。頂点目指し歩くヴァルバトーゼの手には玄武玉<げんぶぎょく>が握られていた。四つの漢宝玉<かんほうぎょく>がすべて姿を現したのだ。すべてを手にした者が漢熟覇王となるのだ。まもなく頂点でその争奪戦が繰り広げられる。ヴァルバトーゼは心に決意の灯をともし、頂点を目指す。

と、その時、疾風のようにヴァルバトーゼを鳥のような影が追い越してゆく。
「漢四方玉<かんしほうぎょく>集めし者は不老不死、永遠なる強さを誇る漢熟覇王として君臨する。しかし、その時不幸は訪れる。漢四方玉は大地の宝。決して一極に集<つど>わすべからず…」
その鳥の影は、ヴァルバトーゼに語りかけた。七色に輝く羽根はとても印象的じゃった。あの姿はまぎれもなく…。


<つづく>