漢熟覇王 ネクスト2

 真の漢熟覇王は誰なのか? シール情報だけで終わらない漢熟覇王大戦のすべてを四神ゲンブが明らかにする! 戦士たちの激闘はもちろん、ヒミツのライバル関係まであばいてしまうぞ。衝撃のラストシーンまで『漢熟覇王ネクスト2』を見のがすな!



第4回 火碧影妃<かへきえいひ>ユリアVS魔月師<まげつし>フェンリッヒ!斬月影<ざんげつえい>の恐怖、白虎域<びゃっこエリア>を震わす静かすぎる孤高の闇

漢熟覇王大戦が再び始まって、漢大陸の西…白虎エリアでは割合すんなり代表者が決定した。お市に茶々、モウシなんてのはハナっから棄権というか、戦う意志も無かったからの。フェンリッヒの実力もここではズバ抜けていた、と言っていいじゃろ。問題はむしろこの先。万理の頂道からじゃ。

ヴァルバトーゼの執事とはいえ、月の光を味方に、フェンリッヒは快進撃を続けておった。あの麗月剣<れいげつけん>を見たことがあるか? わしゃ、あんなヘンテコリンな剣を見たことないぞ。闇に現れ、闇を斬る。闇からの使者、それが魔月師フェンリッヒなんじゃな。

前にも言ったが、漢大陸にある4つの宝玉<ほうぎょく>を集め、不老不死の体となり、永遠の漢熟覇王となるべく万理の頂道、その頂点に君臨する頂の始皇帝じゃが、それをサポートすべく、いやラクに実現すべく登場したのが漢権四天王<かんけんしてんのう>でな。フェンリッヒの行く先に待ち受けているのは……。

「…遅い、な。私に何度夢を見させるつもりだ?」
白虎エリアの頂道に現れたのは火碧影妃ユリアだった。すっと音もなく、忍び寄るように、ユリアは現れた。まるでその名のとおり影だ。一瞬にしてフェンリッヒは、自分と同じ匂いを感じとった。
「(本当にコイツが漢権四天王なのか?)」
妖気に漂う極めて風に近い存在のユリアを見て、言葉にはしないが、フェンリッヒの脳裏を思いがかすむ。単純に表現するなら幽霊だ。ヒトの体を成していて、空気になじむその存在。風と同一化し、かすかに揺れるフォルム。想像の現実化に言葉が出なかった。それほどユリアは不気味で、無言のプレッシャーを与えた。漢大陸のことを知り尽くしたワシですら、その不気味さには震え上がるくらいじゃ。

フェンリッヒは終始落ち着きはらっておった。満月パワーいっぱいの麗月剣で、にじり寄っていく。さしものユリアもそのオーラに圧倒されたようじゃが、
「夢は闇に咲き、光に消される…。でも、あなたの夢は闇に消されるの…」
と、謎の言葉をつぶやいたのじゃ。これが開戦の合図でもあった。

戸惑いを感じながら、麗月剣を振りかざすフェンリッヒ。他を寄せ付けなかった円月斬りの構えで、少しずつ少しずつユリアを威嚇<いかく>する。しかし、動じない。まったく表情も変えず、その場に漂っているだけ。追い詰められているのはフェンリッヒのほうだ。冷静なフェンリッヒが、かつてない恐怖におののき、平常心を失っているのだ。まるで高まる鼓動が音をたてて、聞こえてきそうなほどじゃった。麗月剣がキラリと輝きを増した。覚悟を決めたフェンリッヒは、勇猛果敢<ゆうもうかかん>に斬りかかった!

ユリアの暗影鏡<あんえいきょう>が月の光を切り裂いた! 闇が光を切り裂いたのだ。その逆転現象に、フェンリッヒも混乱した。立ち向かったユリアがなぜか自分の背後にいる。暗影鏡の鋭い切り口の痛みをじんわりと感じながら。
「影は、光に制される…光無き闇がここにあるというのか…。影だけが存在し、闇となって斬るというのか…」
フェンリッヒは立ち上がり続けようと、意識を確かに、冷静に自分に問いかける。そして、一瞬の冷静さを失ったことに悔いを遂げる。
「光あるところの影こそ、光を知り、影を知る。ましてや月の光など恐るに足らぬ。闇に消される夢もあるの…」
と、ユリアは一貫して表情を変えず、現れた白虎玉<びゃっこぎょく>を手に万理の頂へゆっくりと歩んでいった。

頂の始皇帝を破るのは、多くの漢熟戦士の誰かじゃろうとワシも思っていた。しかし! フェンリッヒが倒れ、漢権四天王のひとりが勝ち上がってしまった! これでは始皇帝の永久漢熟覇王に一歩近づいてしまったではないか。まさかまさかの展開はこの後もつづくのじゃが…きょうはここまでじゃ。


<つづく>